ユーザーがブラウザーを能動的に選択することは以前に比べてかなり減りました。
Internet Explorer の標準から離れた実装・ユーザビリティの低さ・拡張性の低さからの代替ブラウザーの勃興、モバイル環境の普及からの Microsoft 製品の淘汰など、歴史的な経緯を知る必要はありませんが、現状でブラウザーを選択する必要がある唯一の環境が Windows です。
Windows ユーザーにとって現実的なブラウザーの選択肢は現在 (2020/01) では三つあります。
Google Chrome
- 開発は Google が主導しています。
- 高速に動作し、タブごとに独立したプロセスのためクラッシュ耐性が高いことが特徴ですが、メモリーを多く使用するともいわれています。
- Android スマートフォンに標準でインストールされている Chrome と連携することができます。
- Windows Update とは独立したアップデート機能、Google のデータベースによって閲覧しようとしているページが安全か判断するなど、アンチウィルスソフトの部分的な機能も内包しています。
Mozilla Firefox
- 開発は Mozilla が主導しています。オープンソースです。
- 以前は他のブラウザーと比較して低速でしたが、現在では Chrome と同じような機構が採用され、速度・クラッシュ耐性ともに同等の水準に改良されました。一方で非常に高い拡張性が失われました。
- Portable Firefox などのように設定ファイルをコピーするだけで別の環境で動作するブラウザーは Firefox だけです。
- スマートフォンなどと連携するときはモバイルアプリ (Android, iOS) をインストールする必要があります。
Microsoft Edge
- Microsoft が開発しています。2020-01 に Chromium ベースの新しいバージョンがリリースされました。
- Windows 10 に Internet Explorer 11 に代わり、標準でインストールされます。
- スマートフォンなどと連携するときはモバイルアプリ (Android, iOS)をインストールする必要があります。
- Windows に組み込まれた機能のため、問題が起こったときは Windows を再インストールしなければ修正できない可能性があります。
まとめ
結論として能動的に選択するのであれば、Google Chrome を使用するべきです。
現在ではブラウザーの基本的な機能・性能はどれも大差ありません。そのため、選択する基準はモバイルとの親和性 (見た目が同じか、設定が同期しやすいかなど) となります。近年、Microsoft はスマートフォンなどのモバイル分野の進出に失敗したため、モバイルではプラットフォーム (Google Android、Apple iOS) を持たないサードパーティーの扱いとなります。これは Mozilla などと同じ立場になったという事であり、Windows 環境でのブラウザーの選択肢の優先順位も Firefox と同等と考えなければならない状態です。他のブラウザーに優越する点はビルトインである (最初からインストールされている) ことですが、問題が起きたときは修正が難しいという弱点にもなります。
また、使用しているアプリや所属している組織によって選択肢が Microsoft 製に限られていることも多いと思われますが、前述したモバイル環境での Microsoft の失地により Web の動作環境は年々変わりつつあります。動きの遅い行政サービスも Windows 7 の保守期限が切れる 2020 年頃には Chrome などに対応せざるをえなくなるでしょう。