Windows 10 にはクイックアシストというリモートサポートアプリがインストールされています。
これまでリモートアシスタンスが同様の機能を提供するアプリとして存在していましたが、IPv4 NAT を越えられなかった (UPnP でポートを開こうとはする) ためあまり実用的とは言えませんでした。そのため、TeamViewer をはじめとするアプリがサードパーティーによって提供されてきましたが、ビジネス向けはお世辞にも安いとは言えないプランしかなく、月に数度しか利用しない環境では仮想マシンを使用することでビジネス向けの判定を免れてきました。(2018/06 現在、TeamViewer の最安プランが 5,000 円/月 となっています。以前はもっと高かったはずです)
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Windows の標準機能のためサポート開始までの手順が大きく改善される
これまでは電話などでリモートサポートアプリを開始するまでに操作を指示してきました。ブラウザーを開き、 TeamViewer を Yahoo などの検索サイトから検索し、ダウンロードページを開き、ダウンロードするファイルを指定し、ダウンロードを行い、ダウンロードしたファイルを実行する、という手順をお客様に実行してもらう必要がありました。これは一般的な作業とは言えず、リモートサポートを開始するまでにそれなりの時間がかかってしまいました。ブラウザーや検索サイトによる操作方法の違いも説明を困難にしてきました。
クイックアシストは Windows 組み込みのアプリのため、手順が大きく簡略化されます。スタートメニューを開き、”Windows アクセサリ” から “クイックアシスト” を探して実行するだけです。
ただし Windows 7/8 はクイックアシストが提供されていないため、TeamViewer などが必要となる場面は残りそうです。
リモート側の UAC をサポートする
クイックアシストはリモートから UAC で昇格な必要なアプリの実行が可能です。TeamViewer も同じ機能をサポートしますが、例えば Chrome Remote Desktop は UAC が機能すると制御が返ってこないなど、この機能に対応していないリモートサポートアプリもあります。
また、TeamViewer はサポートが提供される前、TeamViewer 自体を実行するときにも UAC で昇格が必要でしたが、クイックアシストは UAC による昇格を要求しません。これはおそらくクイックアシストが既にシステムにインストールされているためと思われますが、TeamViewer などの動作はユーザーに不要な不安を招きかねないものでした。
クリップボードの共有機能がない
テキストやファイルなどのクリップボードの共有機能がありません。ファイル転送は個人的にはほとんど必要性を感じないのですが、テキストの共有ができないのはかなり不便に感じます。クラウドストレージによる共有や短縮 URL の設定などを事前に用意した方がよさそうです。
レスポンスが競合に劣る
通信環境に問題がないと考えられる環境でも、操作が数十秒間にわたってブロックされることがあります。
再接続が少し面倒
いかなる理由による切断であっても、再接続はサポートを受ける側の操作が必要なようです。セッション維持の実装が甘いのか、通信環境の影響なのか、意図しないタイミングで切断が発生することがあるようですので、改善を望みたい点です。