Published On: 2018-06-15|Last Updated: 2023-04-04|Categories: Windows, Windows 10|Tags: , , , , |

Windows 10 と Windows 11 にはクイックアシストというリモートサポートアプリがインストールされています。

これまでリモートアシスタンスが同様の機能を提供するアプリとして存在していましたが、IPv4 NAT を越えられなかった (UPnP でポートを開こうとはする) ためあまり実用的とは言えませんでした。そのため、TeamViewer をはじめとするアプリがサードパーティーによって提供されてきましたが、ビジネス向けはお世辞にも安いとは言えないプランしかなく、数か月に一度程度しか利用しない環境では仮想マシンを使用することでビジネス向けの判定を免れてきました。(2018/06 現在、TeamViewer の最安プランが 5,000 円/月 となっています。以前はもっと高かったはずです)

注: 後述する 2022-05 のアップデートによりこのアプリの使い勝手はかなり悪化しました。

メリット: Windows の標準機能のためサポート開始までの手順が大きく改善される

これまでは電話などでリモートサポートアプリを開始するまでに操作を指示してきました。ブラウザーを開き、 TeamViewer を Yahoo などの検索サイトから検索し、ダウンロードページを開き、ダウンロードするファイルを指定し、ダウンロードを行い、ダウンロードしたファイルを実行する、という手順をお客様に実行してもらう必要がありました。これは一般的な作業とは言えず、リモートサポートを開始するまでにそれなりの時間がかかってしまいました。環境によってブラウザーや検索サイトが異なり、それによって操作方法が違うことも説明を困難にしてきました。

クイックアシストは Windows 組み込みのアプリのため、手順が大きく簡略化されます。スタートメニューを開き、”Windows アクセサリ” から “クイックアシスト” を探して実行するだけです。

ただし Windows 7/8 はクイックアシストが提供されていないため、TeamViewer などが必要となる場面は残りそうです。

2022-05 のアップデートはユーザーによる手動適用が必要であり、残念ながらこのメリットすら失われています。

デメリット: リモート側の UAC をサポートしない

以前のクイックアシストはリモートから UAC で昇格な必要なアプリの実行が可能だった記憶がありますが、2022-05 以降の新しいバージョンではサポートされなくなりました。サポート開始するときにサポートを受ける側に指示して UAC を無効にし、サポートが終了したら UAC を元に戻す必要があります。1対策として UAC を脆弱にする設定が勧められていますが、それはないだろうよ。

競合のうちでは TeamViewer は UAC をサポートします。Chrome Remote Desktop は UAC が機能すると制御が返ってこないなど、この機能に対応していないリモートサポートアプリもあります。また、TeamViewer サポートを要求する側が実行するときにも UAC による昇格を要求します2TeamViewer の実行時に UAC でいいえを選んで非管理者セッションで実行してもリモート操作は可能なようですが、この動作はユーザーに不要な不安を招きかねないものです。

デメリット: クリップボードの共有機能がない

テキストやファイルなどのクリップボードの共有機能がありません。ファイル転送は個人的にはほとんど必要性を感じないのですが、テキストの共有ができないのはかなり不便に感じます。クラウドストレージによる共有や短縮 URL の設定などを事前に用意した方がよさそうです。

デメリット: 再接続が少し面倒

いかなる理由による切断であっても、再接続はサポートを受ける側の操作が必要なようです。

2022-05 のアップデート

こちらにもあるように、2022-04 末頃にストアアプリに変更されたようです。2022-06-07 現在、前述のページにもあるようにアップデートにいくつかというかかなり問題が見られます。

  • Windows+Ctrl+Q キーで古いアプリが起動する、古いクイックアシストへのショートカットを実行しても新しいクイックアシストが実行されない3古いクイックアシストから新しいクイックアシストを実行するリンクがあるもののやや面倒です
  • アップデートに時間がかかる、アップデート後のクイックアシストの初回起動に時間がかかる、アップデートがループする4Windows を再起動しないとアップデートが完了しない
  • 起動できない5Windows Update の実施、Microsoft Store で各アプリをアップデート、Microsoft Edge のアップデートなどを行い、しばらく経つと解決するようです。
  • スタートメニュー上の位置が変わる

10 台程度の PC でアップデートを行いましたが、環境がほぼ同じにもかかわらずすんなり進むものやそうでないものがありました。また、Windows 11 のクリーンインストール直後の個体で何度も再起動を繰り返しても新しいクイックアシストが起動しないなど、このアップデートのユーザーエクスペリエンスはかなり酷いと言わざるを得ません。古いクイックアシストがもう使用できないにもかかわらず、自動でアップデートが適用されないことも理解不能です。

アップデートの適用手順を作成しました。

ストア版のインストールが終わっても起動できないときは Webview2 のバージョンが古い6イベントログに記録されています。可能性があります。この場合は WebView2 ランタイム Evergreen スタンドアロン インストーラーを “管理者として実行” を明示的に実行することで解決できます。7C:\Program Files (x86)\Microsoft\EdgeWebView\Application\107.0.1418.42\Installer\setup.exe –uninstallなどを実行してアンインストールしてしまう方法もあるようです。WebView2 インストーラーはシステムにインストールされているバージョンが古くても、管理者として実行しない限りアップデートせず、警告も発しないようです。はっきり言って非常に劣悪なユーザーエクスペリエンスです。

2022-11-15: クイックアシストがストアアプリから組み込み機能に戻される、という情報があるようです。

  • 1
    対策として UAC を脆弱にする設定が勧められていますが、それはないだろうよ。
  • 2
    TeamViewer の実行時に UAC でいいえを選んで非管理者セッションで実行してもリモート操作は可能なようです
  • 3
    古いクイックアシストから新しいクイックアシストを実行するリンクがあるもののやや面倒です
  • 4
    Windows を再起動しないとアップデートが完了しない
  • 5
    Windows Update の実施、Microsoft Store で各アプリをアップデート、Microsoft Edge のアップデートなどを行い、しばらく経つと解決するようです。
  • 6
    イベントログに記録されています。
  • 7
    C:\Program Files (x86)\Microsoft\EdgeWebView\Application\107.0.1418.42\Installer\setup.exe –uninstallなどを実行してアンインストールしてしまう方法もあるようです。

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  • 1
    対策として UAC を脆弱にする設定が勧められていますが、それはないだろうよ。
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    TeamViewer の実行時に UAC でいいえを選んで非管理者セッションで実行してもリモート操作は可能なようです
  • 3
    古いクイックアシストから新しいクイックアシストを実行するリンクがあるもののやや面倒です
  • 4
    Windows を再起動しないとアップデートが完了しない
  • 5
    Windows Update の実施、Microsoft Store で各アプリをアップデート、Microsoft Edge のアップデートなどを行い、しばらく経つと解決するようです。
  • 6
    イベントログに記録されています。
  • 7
    C:\Program Files (x86)\Microsoft\EdgeWebView\Application\107.0.1418.42\Installer\setup.exe –uninstallなどを実行してアンインストールしてしまう方法もあるようです。