Published On: 2024-09-27|Last Updated: 2024-11-20|Categories: WordPress|Tags: |

WordPress と WP Engine の闘争、というか Matt Mullenweg (Automattic) による WP Engine への扇動的かつ一方的な攻撃が話題となっている。日本語圏はなぜか暢気なものだが、今回の件は非常に重大であり、WordPress の歴史において分岐点になりかねない。少なくとも Reddit ではそれなりに紛糾しているようだ。

広く同意が得られる見解ではないかもしれないが、個人的にはかなり以前から Matt Mullenweg による WordPress の私物化・私有化の傾向を感じていた。彼の保有する Automattic はフリーミアムな商売をする企業の見本のようなもので、これらの企業はしばしばオープンソースの理念を曲解・援用することがある。確かに彼らは自らの OSS に多大な貢献をしているが、動機は営利に過ぎない。彼らが発言するときに OSS 利用者などコミュニティの同意や意思は必ずしも含まれない。彼らは自分たちの利益とオープンソースの理念を混同して発言する。意図的であればまだマシで、確信犯の場合は改善が望めない。

とにかく “オープンソースへの貢献” という言葉を軽々しく受け止めるべきではない。権力者による “社会への貢献” は誰が最大の利益を得て、誰が最大の負担を被るのかほとんどの場合言及されない、それは権力の源泉が搾取だからだ。

整理すると:

  • WP Engine の貢献が少ない、という主張はまあ妥当。俺の作った商売道具を勝手に使うな程度の意味でしかないが。
  • WP Engine に “WP” は WordPress を想起させるから使用するな、という主張は WordPress.com の存在を考えると公平性に欠ける。WordPress.com が特別扱いされる理由は? コミュニティが (既成事実でなく、また事実上選択肢のない議題としてでもなく) 支持した事?
  • WordPress.org から WP Engine を ban したのは疑いなく危険、Matt Mullenweg が WordPress における独裁者であると宣言したようなもの。
  • JetPack から WP Engine を ban したのであれば、WordPress.org === Matt (Automattic) である強い証拠になる。

一連の流れにおいてオープンソースは主題ではない、Matt Mullenweg による反競争的な行為が問題となっている。Matt Mullenweg は WordPress.org (完全なるクローズドソース、運営の詳細は非公開、おそらく独立した法人でない)・Automattic (WordPress.com など)・WordPress Foundation すべてを掌握しており、我々は WordPress エコシステムで行動する限り彼の大きな影響を受ける。オープンソースなのだからそれを利用する営利組織は貢献するのは当然だと捉えるのは早計であり、Automattic が利用するための機能開発に競合他社が “貢献” させられる可能性は現実的に大きい (Gutenberg の開発はそれと言ってよい)。WordPress.org の運営にコストがかかると訴えられたとして、その部分をどのようにケアするか、あるいは閾値を超えた分を有料化するかなどは今まで全く問題提起されてこなかった。また、Matt Mullenweg の一連の行動は、非営利で貢献している多くのボランティア開発者の信頼を損ねる裏切りに近いものである。大きな影響力のあるプラグイン (WP Engine の保有する Advanced Custom Fields など) を Automattic が乗っ取ることは既に現実となりつつある。

他のまとめ:


本来は別のページにすべきなのでしょうが、ここから下の部分はリアルタイムに更新しています。

時系列:

注: bullenweg.comhttps://gist.github.com/adrienne/aea9dd7ca19c8985157d9c42f7fc225d もリアルタイムで更新されているまとめです。

注: なるべく UTC 基準、並び順は正確でない可能性がある。

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