Published On: 2023-05-20|Last Updated: 2024-02-02|Categories: Google, Google Workspace|

2023-05-12 に Google Workspace Business Starter にもストレージプールが導入されることが発表された。

ストレージプールは Google Workspace において組織の最大保存容量が ユーザー数 x プランによって決定するユーザー当たりの最大保存容量 のような式によって決定されるモデルである。例えば、Business Starter で 5 ユーザーライセンスのある組織は特定のユーザーが 150GB の容量を使用することもできるし、これまでのように各ユーザーが 30GB まで使用することもできる。

便利といえば便利だが、以前は G Suite ストレージ アドオンという別のオプションがあった。

G Suite ストレージ アドオンの終了

先んじて 2022-06 頃に G Suite ストレージ アドオンが終了したが、これの告知は行われなかったようで、そのために 1 年間の猶予期間が設けられたようだ。わたしもこの変更は 2022-09 頃に知った記憶がある。

終了するまでは個人の Google アカウントのように 100GB や 1TB の容量をサブスクリプションで増やせたが、現在では新しく購入することはできない。しかし既存のサブスクリプションに料金を支払って更新することは可能である。とはいえ色々疑問がある状況で、例えば 2023-05-31 に更新されたとすると 2024-05-31 頃まで契約は有効になると思うのだが、その場合は前述の猶予期間の扱いはどうなるのだろうか。また、サブスクリプションの更新を忘れたアカウントについても容量は増加したままになっているが、これは猶予期間なのだろうか。

なんにせよストレージプールが開始されればこの辺りはもうどうしようもなくなる。値上げやプランモデルの修正によるコストパフォーマンスの悪化は商売に携わっているものであればある程度はお互い様なので許容しうると思うが、二転三転しているとみられるような方針は不審や不和を生むだけだろう。

Google Workspace Business Starter の機能が他のプラン準拠に

Google Workspace Business Starter へのストレージプール導入と同時に、共有ドライブの導入も発表されている。これに関しては純粋に機能追加なので歓迎できるものの、組織全体で 30GB x ユーザー数のストレージプール容量を Gmail や Photos・マイドライブ・共有ドライブのすべてで共有して消費するため、Business Starter のまま共有ドライブの機能を十分に利用できる組織は限られるだろう。不要なデータを削除・退避しろというが、それらはかなり重いワークロードである。

Google Workspace のライセンス割当は非常に柔軟性が低く、下位プランに満足できなければほぼすべてのユーザーのライセンスを上位プランにアップグレードする必要がある。1容量だけを追加するオプションもあるが、これは 10TB/300USD/mo からとなっておりコストパフォーマンスの低い解決策である。

Google Workspace の Business Starter と Business Standard の間の容量は 30GB と 2TB と大きな格差があり、ライセンスやオプションで執拗に Business Standard など上位プランに誘導する様子が見られる。Frontline などもあるがそれらは簡単に導入できるプランではない。せめて Business Starter の料金がもっと低くなれば導入組織も増えて、この問題についても納得できるものになると思うのだが。

Google Workspace for Nonprofits

Google Workspace for Nonprofits ではストレージプールは導入されていないようだ。管理コンソールでも合計使用容量が表示されるだけである。

しかし G Suite ストレージ アドオンが終了するなどの影響は既に発生している。for Nonprofits にも何らかの制限が加わることはありえそうだ。for Nonprofits は最大 2,000 ユーザーが利用可能とされており、これの総容量 60TB が最大ストレージプールとなるのではないかというのが予想である。Google Workspace for Education では 100 TB のストレージ プールが基本容量として提供されており、比較するとありえそうな数字ではある。

無料で利用できるだけでありがたい話なのだが、利用を開始してから条件を変更されると財政的に余裕のない NPO では対応できない場合もあり、資金繰りに奔走すれば NPO 本来の活動に集中できなくなることもあるだろう。しばしば NPO が事実上の営利組織となっている様が見られるのはこういった部分で費用が求められることも理由である、寛大な運用を求めたいものだ。

PS. 2023-12 の状況

Google Workspace for Nonprofits には 2023-11 にストレージプールの導入と、100TB の基本容量の割り当てがあった。おそらくこれからは for Education 準拠のプランになると考えられる。G Suite ストレージ アドオンは導入した日からと思われる日割り分が返金されていた。

PS. 2024-01 の状況

2024-01-12 頃、特にアナウンスもなく Google Workspace Business Starter にもストレージ プールが導入された。G Suite ストレージ アドオンは完全に無効になった。

一方、Google Workspace Business Starter への共有ドライブの提供開始は 2024 年後半と大幅に後ろ倒しされた。これもアナウンスはなかった。

  1. 上位ライセンスの割合を 75% に保てば下位プランを追加できるらしい。 ↩︎

関連